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実績/コラム

ビジネスの現場から日常のケアまで。mindflowが綴る瞑想ノート

サウナのあとに瞑想したら、味覚が変わった|館山ウェルネスリトリート「心身満ちる」

  • 8月18日
  • 読了時間: 8分

更新日:8月19日


2025年の晩秋。海と富士山を一望する千葉県館山の丘の上で、「心身満ちる」と名づけた瞑想とサウナのウェルネスリトリートを開きました。集まったのは、ほとんどが初対面の方ばかり。澄み渡る秋晴れの下、サウナと瞑想を重ねながら「五感の変化」を味わい尽くす1泊2日でした。



なぜ、サウナと瞑想を組み合わせたのか

きっかけは、とてもシンプルな好奇心でした。

私はサウナが好きです。熱と冷水を経て外気浴に身を委ねたとき、ふっと訪れる「整う」感覚。そして、私が普段お伝えしているマインドフルネス瞑想もまた、人を整えてくれるものです。サウナが外部から熱や冷水で身体にアプローチするのに対して、瞑想は、内部からのアプローチで意識を使って頭のなかの喧騒を静めていく。アプローチは対極とも思える二つなのに、たどり着く場所はどこか似ている。だとしたら、このふたつを重ね合わせたら一体どんな景色が見えるのだろう。


そう思いついてしまったので、館山の海沿いでサウナ施設「Sea Sauna Shack」を営む永松さんに、「瞑想とサウナのなんか面白いことやらない?」と声をかけました。本業は空間デザイナーのサウナの専門家。そこから、何をどう組み立てるかを考える時間が始まりました。いやー、本当にむちゃくちゃ考え抜きました。



「サウナのあとって、味覚が変わるんだよね」

内容を詰めていく途中で、永松さんがぽつりとこう言いました。サウナの後は味の感じ方が変わるから、それをみんなに体験してほしいんだよね、と。

聞いた瞬間、確かにね、と思いました。サウナ好きなら誰でも心当たりがあるはずです。あの一杯、あの一口。サウナ飯が特別に美味しいことは、みんな知っています。


ただ、よく考えると、美味しいのは料理そのものなのでしょうか。それとも、受け取る私たちの感覚の変化なのでしょうか。


おそらく後者なんだけれど、普段はそれを確かめる機会がありません。ビール片手に味の濃いものをガッツリ食べてしまうので、変化は起きているかもしれないのに、何がどう変わったのかは分からないまま終わってしまう。こういう感覚って、みんな感じないままスルーしてしまうんですよね。


それなら、その変化をじっくり味わえる仕掛けを作ったら面白いんじゃない?ということになりました。



甘い、酸っぱい、苦い

この3つの味を選んでくれたのは、養生フードクリエイターのCalen Soさんです。


甘い、酸っぱい、苦いの3つを、ちょっと味見できるようなものはないかな。そんなお願いをしただけなのですが、返ってきた3つが素晴らしくて、さすがのセンスでした。


ひとつめは、メキシコ・ユカタン半島産の蜂蜜。酵素がたっぷり生きているもの。

ふたつめは、杉田梅の赤紫蘇梅干し。品種改良されていない在来種で、クエン酸がとても豊富な梅です。

みっつめが、陳皮生姜白湯。あまり日常的に飲むものではありませんが良薬とも言える代物


これをサウナに入る前に一度口にし、サウナと瞑想を3セット繰り返したあと、まったく同じものをもう一度味わってもらうことにしました。



テントサウナと、木漏れ日の瞑想

森のなかに張られたテントサウナに入ると、天然ハーブの芳香が立ちのぼり、熱とともに身体の奥まで染み渡っていきます。温まった身体のままウッドデッキに座り、目を閉じる。木々がさざめき、木漏れ日が揺れ、遠くで小鳥が鳴く。

サウナ、瞑想、サウナ、瞑想。 熱と静寂を行き来するたび、一段ずつ深くなっていくように静けさが広がっていきます。だんだんと、みんなの顔がゆるんでくるのが分かります。都会のスピードのまま来た人たちが、この場所のつくる空気に少しずつ包まれていくような、そんな時間でした。



サウナの後の脳では、何が起きているのか

プログラムを組んでいるとき、私は少し調べ物をしていました。ここだけ、ちょっとマニアックな話をさせてください。


まず、瞑想の側の研究です。1966年に日本の研究者が、坐禅中の禅僧の脳波を測りました。瞑想が深まっていくにつれてアルファ波がゆっくりになり、やがてシータ波へと移り変わっていく。しかも眠っているわけではなく、覚醒したまま、注意は鋭いままで、です。


シータ波というのは、本来なら眠りに落ちる手前で出てくる脳波です。それが、目を開けているのと変わらない意識のままで現れる。とはいえ、長年坐り続けてきた禅僧たちが到達する場所ですから、初心者がいきなりその領域に入るのは、正直むずかしいとは思いますが。


一方で、サウナの側にも研究があります。サウナの後にはアルファ波とシータ波が増えることが報告されているんです。それから、注意を向ける前の段階での音の処理が上がっているという結果も。聞こうと意識しなくても、音のほうから入ってくるような状態ですね。


さらに別の研究では、サウナの後に「気づく力」——音や匂いや味への気づきやすさを測る尺度が上がったと報告されています。


少し丁寧に考えると、禅僧のシータ波とサウナの後のシータ波が同じものかどうかは、まだ誰も検証していない領域なので、同じとは言えないのですが。


それでも、と思いました。

熟練者でなければ入れない場所へ、サウナが身体のほうから連れていってくれるのだとしたら。その状態で瞑想をしたら、いつもより深いところまで行けるんじゃないか。特に、音の瞑想とは相性がいいのではないか。


あくまで仮説です。実験でもないし、証明できるものでもありませんが、それでも、やってみたら面白いと思いました。



「ずっとそこにあったのに」

音の瞑想を終えたあと、参加者の方がこんなふうに話してくれました。


急に、さっきまで聞こえてなかった、風の音や鳥の鳴き声がわーって入ってきた。 ほんとうは、ずっとそこにあったのにね。気づいてなかったんですよね。サラウンドシステムみたいに、360度音に包まれました。


それを聞いて、もしかして思ってた通りの体験になったかなと。

そうだったらいいなあと思いました。


そして、最後の三味のテースティングでは、

私たちが感じていたものを、みんなも同じように感じてくれたことが嬉しかった。


何これ、全然違う!

食べてみて、ほらね。

ほんとだー。


あちこちで声が上がって、みんなで確かめ合っていました。同じ蜂蜜、同じ梅干し、同じ白湯なのにです。


身体って、本当に繊細で、その場その場に、ちゃんと対応して変わっている。ただ、気づいてあげるということなんですよね。


そしてその時には、仮説が当たっていたのかどうか、正直どうでもいいなって思いました。それより、みなさんが、この場の体験に驚いたり、顔が緩んできてたり、何かを感じてくれてる、変化を感じているというのがすごく嬉しかった。



お酒も飲んでいないのに、昔からの友達みたいだった

夕方になるとガゼボに灯りがともり、Calenさんの養生フードディナーが始まりました。


私は、初対面のみなさんが交流しやすいように、自己紹介や質問、ちょっとしたゲームなども準備していました。でも、そんな心配はほとんどいらなかったみたいです。


気づけば、みなさん、まるで昔からの友達みたいに盛り上がっていました。初対面なのに。しかも、お酒も飲んでいないのにですよ。


朝からサウナと瞑想を重ねて、身体がゆるみ、感覚がひらいていくうちに、人との間にあるものまで少しずつほどけていったのでしょうか。みんなが、いつもより少し素の自分で、その場を楽しんでいるように見えました。


夜は庭に出て、キャンドルに囲まれて座り、星空の下で瞑想をしました。

静かな夜のなかで一緒に座っていると、それまで少しずつほどけてきたものが、あの時間にきゅっとひとつにつながったような感じがしました。


そして最後に感想を話す時間になって、「あの瞬間に愛を感じました」と言ってくれた方が何人もいました。ああ、私だけが感じていたんじゃなかったんだ、と思いました。

「愛がつながった」なんて言うと、ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれません。でも、あの場所では、確かにそんなものが生まれていたように思います。


そして翌朝、最後のサウナを終えて、本当にお別れの時間になると、泣いてる人もいて、私もなんだか感動してうるっとしていました。


「ウルルン滞在記か!テレビ来てないよね?」と、自分にツッコミを入れたくなるくらい。でも、そういう何かが、確かにあったということです。



五感は、自分に気づくためのアンテナ

このイベントのテーマは「五感を研ぎ澄ます」です。


とはいえそれは、味や音を楽しむためだけのものではありません。五感というのは、自分に気づくためのアンテナなんです。


アンテナが働いていないと、気づけない。自分がいま何を感じているのか、何を求めているのか、心地いいのか、そうでないのか。全部、身体のほうが先に知っているのに、受け取れないままになってしまう。


だからまず、感覚を戻すところから始めます。

ひとつずつ動きが出てきて、いろんな体験が積み重なっていくと、あるところで、あー自分ここにいた、という感じがやってくる。このままでいいじゃん、と思えてくる。


自分らしさを、大切にしてほしい。あの2日間で伝えたかったのは、そういうことだったんだけど、伝わってたらいいな。



参考

  • Kasamatsu & Hirai (1966) 坐禅中の脳波研究

  • Chang et al. サウナ後の脳波と聴覚処理

  • Sauna and Mindfulness (2025) サウナと気づきの尺度




サウナ×瞑想リトリート「心身満ちる」2026年の開催

  • 日程:2026年10月3日(土)〜4日(日)

  • 場所:南房総・館山市 Monterey House / Sea Sauna Shack

  • 定員:16名

  • 料金:62,500円(税込)

サウナも瞑想も、まったくの初心者で大丈夫です。サウナはやるけれど瞑想は初めて、という方も、全部初めての方も歓迎します。





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